[登場人物]
八五郎 先生
■こんちわぁ。★ハイッ、これはどうも。いつもこうして服用記録と具合
を書いてきて下さるんで、助かります。あ~た、見掛けによらず几帳面な
んですなぁ。■先生、わたいのこの端正な顔つきが几帳面と不釣り合いで
っか。★いや、それは、なんです、うーぅ、失礼しました。
★ふむ、ふむ。かなり落ち着いてこられましたな。ペースが掴めてきた感
じでしょうなぁ。ほう、「声の出し方を思い出したような感じ」ねぇ。こ
れよろしいねぇ。よくなってくるとそんな風に仰る方、多いんです。いい
時の自分を思い出したようや、とね。
■そやけど、まだまだソラナックスなしではいけそうにおまへんねやが。
★まあ、今はソラナックスの力を借りながら、小さな成功体験を積み重ね
ていく、そういう段階でしょうな。これから段々と、デプロメールがぐぅ
~っと力強く効いてきますでな。そうなったらソラナックスは減っていっ
て、しまいにはお守り代わりに持っとくというとこまでいくでしょう。
■ぐぅ~っと、力強くでっか。先生のその言い方、なんや勇気が湧いてき
まんなぁ。★♪勇気凛凛ルリの~色♪というの、ありましたなぁ。■先生、
若そうな顔してほんまはわたいより古いのとちゃいまっか。★そろそろ一
ヶ月に一回の通院にしましょうかなぁ。■な、な、何ででんねん、いきな
り。先生、まさか今ので怒った?
★そやのうて。もうかなり落ち着いてこられたし、ソラナックスも上手に
使っておられるし、一ヶ月でも心配ないと思いますでな。■そんなん、わ
たい二週間に一遍ここへ楽しみで来てまんねがな。★楽しみで、ここへ、
ですか。お珍しい。いやね、診察料も掛かることですからそう申し上げた
までで。■先生もわたいと二週間に一遍顔合わすの楽しみでっしゃろ。
★ははぁ、あ~たのような患者さんなら、楽なもんですからなぁ。あ~た
がそう仰るのなら今まで通りということで。
★それはそうと、忘年会シーズンですが、一合守って頂いてますかな。
■へぇ、それはもう。一合呑んだら、後はノンアルコールのビールでお付
き合いしてまんので。なんでっせ、近頃のノンアルコールビールはよう出
来てまっせ。あれ呑み慣れたら普通のビールが不味い。ただ、なんぼ呑ん
でも酔わんので気色悪いんでっけどね。
★まあノンアルコールビールの泡なら結構ですが、お酒を呑み過ぎてこれ
までの努力が水の泡にならんように。■先生、今日はきれいに落ちました
な。★わたしは医者ですでな。ストーンと落とすのはお手のもん。■医者、
いしや、石屋、バンザーイ。誉めんねやなかった。
〔補 足〕
・ソラナックスさえあれば何とかなるという自信は掴めた。調子のいい日
は効き過ぎて眠気を感じるということも経験するようになった。
・鞄にノンアルコールビールを半ダース詰め込んで忘年会へ。参加者の中
には珍しがってノンアルコールビールに手を出す御仁もある。名刺に「ノ
ンアルコールビール・インストラクター」と書こかしら。
・「今はソラナックスの力を借りて小さな成功体験を積み重ねていく時期」
という先生の言葉は嬉しかった。徐々に自信が戻りつつあり、この状態を
キープしていけば先は明るいと思える。
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