[登場人物]
八五郎 八五郎の家内 せいちゃん(八五郎の息子の嫁)
○あれ、亀さんもう帰ったん? ■わしの決心を賭けの具にしくさってからに、なんちゅう奴や、ほんまに。わしの友達にロクなんおらんで。○まあまあ、よろしやないの。却って張り合いが出来ましたやないかいな。
☆ただいまぁ。お母はん、これもろて来ました。○せいちゃん、ご苦労さんやったな。その辺へでも置いといて、後でゆっくり見せてもらうさかいに。☆やあ、お父はんもいたはりましたん、ちょうどよかった。○せいちゃん、しっ。■なんや、その「しっ」ちゅうのは。お前、今器用に片目つぶったなぁ。
☆ただいまぁ。お母はん、これもろて来ました。○せいちゃん、ご苦労さんやったな。その辺へでも置いといて、後でゆっくり見せてもらうさかいに。☆やあ、お父はんもいたはりましたん、ちょうどよかった。○せいちゃん、しっ。■なんや、その「しっ」ちゅうのは。お前、今器用に片目つぶったなぁ。
○いややわぁ、花粉で目ぇが痒いもんやさかい。■九月に花粉症もないやろ。ははぁん、わしに何か隠しとんな。せいちゃん、それこっち持っといで。☆へぇ、そやけど、お母はん・・・、どないしまひょ。○バレたんなら仕様おまへん。せいちゃんに自転車のカタログもろて来てもろたんですがな。■自転車? 誰の?
○誰のて、あんさんのに決まってますがな。■わしの自転車? わしはバイクがあるがな。あれ乗るためにウィスキーやめたんやがな。○まあ、そうですけどな・・・。■さてはお前らも亀さんと一緒やな。わしの禁ウィスキーが三日と続かんと思て。えー加減にしぃや。☆まあまあ、お父はんそない怒らんと。■喧しい。こないなったら意地でも禁ウィスキー(何遍言うても語呂悪ぅ)続けるぞ。☆お父はん、せぇだい気張っとくなはれ。わたしは応援しまっせ。
■せいちゃん、あんただけや、そないして応援してくれるんわ。
☆お父はんの禁ウィスキー成功したら、用の無うなった自転車、わたしがもらえますやろ。
〔補 足〕
・そもそも八五郎がウィスキーでモーニングブレイクするようになったのは、檀家の法事などで緊張すると声が震えるからであった。二十年も前から内科医にインデラル錠を処方してもらっているが、三週間分21錠あれば二ヶ月はもった。しかし、ウィスキーの方がはるかに手軽で、八五郎の好みに合っていた。これが落し穴になるとは・・・。
・ウィスキーをやめても法事を乗り切れると思ったのは、毎日インデラル錠を服用すればなんとかなると高を括っていたからであった。アルコールの離脱症状は八五郎にとって想定外のことであった。
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